近年、日本のエンタメ業界において、かつてない規模の「地殻変動」が起きています。それは、強力なキャラクターやコンテンツを保有するIPホルダー(知的財産保有企業)が、相次いでゲーム事業への本格参入を表明していることです。

象徴的だったのが、2026年4月21日という同じ日に、性格の異なる2社が相次いでゲームブランドの立ち上げを発表したことです。ハローキティをはじめとする世界的なキャラクターIPを持つサンリオは、自社パブリッシングブランド「Sanrio Games」を始動。今後3年間で10本程度のタイトルを展開し、開発・販促費に100億円を投じる計画を明らかにしました。一方、映画・映像事業を本業とする東映は、ゲームブランド「東映ゲームズ」を設立。既存の自社IPは使わず、完全オリジナルの新規IPをゲームから創出するという、異なるアプローチを選択しました。

これまでは、自社のキャラクターや作品の権利をゲーム会社に「ライセンス許諾(貸し出し)」し、そのロイヤリティ(使用料)を受け取るビジネスモデルが主流でした。しかし現在、多くのエンタメ企業がその枠組みを飛び越え、自社で企画・開発・パブリッシング(販売)までを一気通貫で行う体制を整え始めています。
本コラムでは、ビジネス・マーケティング担当者向けに、なぜ今エンタメ大手がリスクを冒してまでゲーム自社開発に乗り出すのか、その背景にある業界構造の変化を分析します。そして、ゲームを起点とした新たなメディアミックス戦略において、ファンとの重要な接点となる「グッズ展開(マーチャンダイジング)」がどのような価値を持つのか、その可能性を深掘りします。

1. なぜ今、ゲームなのか? 参入を促す「3つの背景」

アニメ、映画、出版、キャラクタービジネスなど、それぞれの領域でトップを走ってきた企業が、こぞってゲーム市場に参入している背景には、単なる「流行」にとどまらない構造的な要因が存在します。

① 爆発的に拡大するグローバルゲーム市場

最大の要因は、ゲーム市場が持つ圧倒的な市場規模と成長性です。市場調査の予測では、世界のゲームグッズ・関連市場は2025年の317億ドル規模から、2035年には1,976億ドル規模まで成長すると見込まれています。また、ゲームコンテンツ全体の市場規模はすでに31兆円を超え、映画や音楽を遥かに凌ぐエンタメ界の「主戦場」となっています。
スマートフォンの普及やPCゲームプラットフォーム(Steam等)の台頭、さらには次世代コンソール機の登場により、ゲームは国境を越えて瞬時にグローバル展開できる最強のコンテンツホルダーとなりました。この巨大な市場に対して、ライセンスを貸すだけの「受け身」の姿勢では、得られる果実が限定的になってしまうという危機感が、各社に共通して存在します。

② ロイヤリティモデルから「直接マネタイズ」へのシフト

従来のライセンス許諾モデルは、開発リスクをゲーム会社に負わせることができるため、安全に数%のロイヤリティ収入を得られるメリットがありました。しかし、このモデルではどれだけゲームが大ヒットしても、IPホルダーが手にする利益は限定的です。
自社で開発・パブリッシングまでを手がける「自社投資モデル」へと移行すれば、ゲームの売上そのものを直接自社の収益として計上できます。サンリオが中期経営計画でゲームを「IPポートフォリオ拡充とマネタイズ多層化」の柱と位置づけ、100億円規模の投資を決断した背景には、まさにこうした収益構造の転換を狙う意図があります。もちろん、開発費の高騰やヒットの不確実性という「ボラティリティ(変動リスク)」は高まりますが、成功した際のビジネスインパクトは比較になりません。

③ ゲームを「IP創出のインキュベーター(孵化器)」と捉える視点

かつてゲームは、アニメや漫画などの「原作」がヒットした後に作られる「出口(メディアミックスの最終段階)」として位置づけられていました。しかし現在、その順序は逆転しつつあります。
ゲームは、ユーザーが能動的にキャラクターを操作し、何十時間もその世界観に没入する「体験型メディア」です。そのため、ファンとのエンゲージメント(愛着)が非常に強く、ここから新しいIPを創出するほうが、最初からアニメや映画を作るよりもファンコミュニティを強固に形成しやすいという特徴があります。東映がゲームブランドの設立理念として「ゲームを起点とした、世界を熱狂させる新しいIPの創出」を掲げたことは、この潮流を端的に示しています。ゲームを「新規IPの苗床」として活用し、育ったキャラクターを映画、テレビ、アニメ、舞台、そしてグッズへと波及させていく「ゲーム起点型メディアミックス」が、現代のエンタメビジネスにおける最も洗練された勝利方程式となりつつあるのです。

2. IPホルダーが選択する「2つの参入アプローチ」

ゲーム事業への参入といっても、各社が保有する経営資源やアセットによって、その戦略は大きく2つのパターンに分かれます。サンリオと東映の発表は、この2つのアプローチを対照的に示す好例です。

項目 パターンA:既存IPの自社パブリッシング(サンリオ型) パターンB:ゼロからの新規IP創出(東映型)
主な特徴 自社が持つ強力な既存キャラクター資産を最大限に活用し、自社主導でゲーム化してグローバル展開する。 既存の看板IPはあえて使わず、国内外の独立系クリエイターやインディーゲームと協業して完全新作を開発する。
参入の狙い ライセンス料にとどまらない、直接的なマネタイズとグローバルファン層のさらなる活性化。 既存の枠に囚われない尖ったIPをゲームから生み出し、自社の持つ映画・アニメ・出版アセットでマルチ展開する。
プラットフォーム モバイル、家庭用ゲーム機(Nintendo Switch等) PC(Steam)、家庭用ゲーム機
開発スタイル 実績ある外部パートナーとの共同開発、社内ゲーム専門組織の構築 少数精鋭のパブリッシングチームによるインディーゲームのパトロン・支援型

パターンA:既存IPの直接マネタイズ(資産の最大活用)

すでに世界的な認知度を持つキャラクターを保有する企業が取る戦略です。サンリオの場合、ハローキティをはじめとする400以上のキャラクターIPを動員したグローバル向けファミリー・パーティーゲームを第1弾として展開します。すでにファンベースが存在するため、プロモーションコストを抑えつつ、リリース直後からグローバルで高い売上を期待できます。
課題となるのは、「ゲームとしてのクオリティ」と「世界観の維持」の両立です。キャラクターの魅力を損なわずに、現代の厳しいゲーマーたちの目に耐えうるゲームシステムを構築するため、ゲーム業界から専門人材を積極的に採用し、デジタル事業を統括する新組織を立ち上げるなどの本格的な体制構築が進められています。

パターンB:新規IPの創出(インキュベーション重視)

映像制作、出版、テレビ放送などを本業とする企業が、あえて「既存の看板IPを使わない」形でゲーム事業を立ち上げるケースです。東映ゲームズが発表した初期3タイトルは、いずれも既存IPを使用しない完全オリジナル作品です。
一見、遠回りのように思えるこの戦略ですが、実は極めて合理的です。既存のメガヒットIPを使ったゲームは、良くも悪くも「その作品のファン」向けに閉じてしまいがちで、グローバルで全く新しいユーザー層を開拓するには不向きな面があります。
一方で、インディーゲームの領域からは、世界的な大ヒットを記録する独創的な作品が次々と生まれています。ゲーム単体として尖った魅力を持つオリジナル作品を支援・育成し、ヒットした暁には、自社が持つ映画館、テレビ放送網、コミック誌、舞台、イベントといった「強力な出口(マルチプラットフォーム)」へ流し込む。10年スパンの長期的な戦略です。

3. ゲームIPビジネスの成否を分ける「メディアミックスとグッズ展開」

どのようなアプローチを取るにしても、ゲーム事業への参入において共通して極めて重要なのが、ゲームのリリース後に展開される「マーチャンダイジング(グッズ展開)」です。
ゲームがデジタルな体験であるからこそ、ファンは「現実世界でもその世界観に触れていたい」「自分の好きなキャラクターを手元に置いておきたい」という強い欲求を持ちます。

① グッズが持つ「ファンエンゲージメントの強化」という役割

現代のエンタメビジネスにおいて、グッズは単なる「お土産」や「追加の収益源」ではありません。それは、ファンが自らのアイデンティティを表現し、コンテンツへの愛着を深めるための「コミュニケーションツール」です。
特にゲームキャラクターにおいては、プレイヤー自身が操作して苦楽を共にした「相棒」のような存在になります。そのキャラクターがアクリルスタンド、缶バッジ、ぬいぐるみ、あるいは日常使いできるアパレルやステーショナリーとして具現化されることで、ファンとゲームの世界観との結びつきはより一層強固なものになります。

② デジタルからリアルへ:購買体験の創出

ゲームのゲーム内課金(アイテム購入など)は、サービスが終了すれば手元に残りません。しかし、リアルなグッズは半永久的にファンの手元に残り、日常を彩り続けます。
近年では、ゲームの発売や大型アップデート、周年イベントに合わせてポップアップストアを開催したり、コラボカフェを展開したりする動きが定番化しています。デジタルなゲーム体験をリアルな購買体験へとシームレスに繋げることで、IPの経済圏は爆発的に拡大します。近年のメディア市場分析でも、マンガ、アニメ、映画、ゲームが横断的につながる「IP経済圏」の広がりが注目されており、グッズ展開はその経済圏を循環させる血液のような役割を果たしています。

③ OEM・ライセンス製造の重要性

しかし、ゲーム開発に特化してきた企業や、新しくゲーム事業を立ち上げたばかりのチームにとって、「グッズの企画・製造・流通」は全く異なる専門知識を必要とする領域です。
•どのようなグッズが今のトレンドなのか?
•ファンが本当に「欲しい」と思い、SNSでシェアしたくなるデザインとは?
•厳しい品質管理をクリアしながら、コストを抑えて製造するにはどうすればいいか?
•小ロットから大ロットまで、柔軟に対応できる生産体制はあるか?
これらの課題を自社だけで解決しようとすると、多大なコストと時間がかかり、最悪の場合、クオリティの低いグッズによってIPのブランド価値を傷つけてしまうリスクすらあります。だからこそ、エンタメ業界のグッズ製作に特化した信頼できるパートナー(OEM企業)との協業が、ビジネスの成否を分ける鍵となります。

4. ゲームIPの価値を最大化する、MONOファームの「ファン目線」グッズ製作

私たちMONOファーム(運営:株式会社ラクシス)は、ゲーム、アニメ、アーティスト、スポーツなど、あらゆるエンタメ・イベント業界のオリジナルグッズ製作を専門に手がけるサービスブランドです。
ゲーム自社開発や新規IP創出に挑む企業の皆様の「出口戦略」として、ファンの熱量にダイレクトに応えるグッズ製作をサポートします。

① どこよりも”ファン目線”を大切にする企画・デザイン力

MONOファームのスタッフは全員がエンタメを愛し、日々イベント会場やトレンドをチェックしている「ファンの一員」でもあります。だからこそ、単にロゴをプリントしただけの定番グッズではなく、「今のファンが本当に欲しがっているアイテムは何か」「どのようなデザインなら日常使いしやすく、かつ所有欲を満たせるか」を徹底的に考え抜きます。
社内に専属のデザイナーを抱えているため、「ゲームの素材はあるけれど、グッズ用のデザインに落とし込めない」「なんとなくこんなアイテムを作りたいけれど、形にできない」といった段階から、ゼロベースでの企画・デザイン提案が可能です。

② 国内外の生産ネットワークによる「コスト削減」と「高品質」の両立

MONOファームは、日本国内の優秀な協力工場に加え、中国にも独自の生産拠点を構築しています。これにより、以下のような柔軟な対応が可能です。
•小ロット・多品種生産:テストマーケティングや、コアなファン向けの限定グッズ、インディーゲームの初期グッズなど、少ない数量からの製作にも対応。
•大ロット・低コスト生産:グローバル展開するメガヒットタイトルや、全国展開のノベルティなど、大量生産による劇的なコストカットを実現。
仕様の選定やサンプルのチェック、厳しい検品体制はすべて日本国内基準で徹底的に行うため、海外生産であっても高いクオリティを維持し、IPのブランド価値を守ります。

③ 企画から製造、納品までワンストップの安心感

ゲーム開発やパブリッシング業務で多忙を極める担当者様の手を煩わせることはありません。お問い合わせからお打ち合わせ、ご提案、サンプルチェック、量産、検品、そして指定場所への納品まで、すべてワンストップで対応します。
さらに、版権元企業様とのライセンス管理や、著作権・商標権などのリーガル面に関する配慮、個別梱包や複数箇所への配送など、エンタメ業界特有の細かいニーズにも柔軟に対応いたします。

5. まとめ:デジタルとリアルの融合が、次世代のIPビジネスを制する

サンリオや東映に代表されるエンタメ大手がゲーム事業に自ら投資し、パブリッシングまでを行う流れは、今後さらに加速していくでしょう。それは、ゲームが「世界で最も効率よく、深くファンを魅了できるメディア」だからです。
しかし、ゲームというデジタルな世界で生まれた熱狂を、一過性のブームで終わらせず、10年、20年と続く強固なブランドへと育てるためには、現実世界(リアル)でのファンとの接点=「モノづくり(グッズ展開)」が不可欠です。
デジタルな体験と、リアルな所有価値の融合。これこそが、次世代のIPビジネスを制する最大の鍵となります。
新しく立ち上げるゲームタイトルのプロモーション用ノベルティから、ファンの熱量を形にする販売用公式グッズ、POP-UPストア用のフルオーダーアイテムまで。ゲームIPの魅力をリアルの世界で何倍にも増幅させるパートナーとして、ぜひMONOファームにご相談ください。
「モノづくりをとおして世の中に感動を与えよう!」という理念のもと、株式会社ラクシスが皆様のIPビジネスの飛躍を徹底的にサポートいたします。

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