【景品表示法】ノベルティ製作時に注意すべきポイントを解説


商品やサービスの販売促進のために、オリジナルのノベルティを製作しようと思っている方は多いのではないでしょうか。ただし、ノベルティを製作する際は、景品表示法に違反しないように注意する必要があります。

そこで今回は、ノベルティを製作する際の景品表示法について詳しく解説します。商標権や著作権など、景品表示法以外に注意が必要な法律についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

景品表示法(景表法)とは

景品表示法とは、消費者がよりよいサービスや商品を選べることを目的として定められた法律です。企業が商品やサービスを販売する際に、消費者向けの広告や景品提供について、注意をうながす内容が記載されています。

具体的には、消費者が誤った解釈をするような不当な広告を「不当な表示の禁止」消費者が判断を間違えるような過大な景品を提供することを「景品類の制限及び禁止」として規制しています。

事業者が景品表示法を違反した場合は、消費者庁によって再発防止等を命じる措置命令や、課徴金納付命令が行われるため注意が必要です。

景品表示法では、消費者への過大な景品類の提供を禁止しています。景品類とは、取り引きにおいて顧客を誘引するために提供する物品や金銭などのことで、経済上の利益のことを指します。

景品類の制限

主な景品類を下記にまとめました。

・物品や土地、建物、工作物
・金銭、金券、預金証書、商品券、有価証券
・映画、演劇、スポーツ、旅行(催し物等への招待または優待を含む)
・便益、労務その他の役務

質のよくない商品や割高な商品の購入は、消費者が損をしてしまう原因となります。また、事業者が商品やサービスの内容に力を入れなくなり、景品による競争がエスカレートしてしまうと、消費者の不利益につながる恐れもあります。

景品表示法は消費者の利益を保護し、合理的な商品選択をサポートするためにある法律です。

景品類の定義

景品類には「総付景品」「一般懸賞」「共同懸賞」の3種類があります。下記で詳しく解説します。

総付景品

総付景品とは、お店に来店したり商品を購入したりするなど、一定の条件を満たした人全員に景品を提供することです。

総付景品には主に下記のようなものがあげられます。

・電化製品を購入した人全員にクーポンをプレゼント
・新オープンの飲食店へ来店した人全員に記念品をプレゼント

そのほか、雑誌に付いている豪華な付録等も総付景品にあたります。

一般懸賞

一般懸賞とは、偶然性の高いくじ引きやクイズなどの優劣等によって、商品やサービスの利用者に景品類を提供することです。

一般懸賞として下記のようなものがあげられます。

・くじ引き
・抽選
・クイズの正解、不正解

具体的には、抽選で当たった人に商品をプレゼントしたり、クイズに当たったらキャッシュバックを提供したりする行為を指します。

共同懸賞

共同懸賞とは、商店街や地域内における複数の事業者が協力して、商品やサービスの利用者に景品類を提供することです。

共同懸賞には下記のようなものが挙げられます。

・商店街全体で行われる歳末セール

・ショッピングモールのセール期間

また、景品類の最高額はあらかじめ定められており、上限を上回る景品類の提供は禁止されています。

不当表示の禁止

景品表示法では、消費者をだますような不当表示が禁止されています。不当表示とは、事実と異なる内容で商品やサービスの品質、価格などをよく見せかけ、消費者が商品やサービスを適切に選択できなくなるような表示のことです。

不当表示には、大きく分けて下記の2つがあります。

・優良誤認表示の禁止

・有利誤認表示の禁止

下記の項目で詳しく解説します。

優良誤認表示の禁止

優良誤認表示とは、商品やサービスの「品質」や「規格」が、事実と異なり著しく優れたものであると消費者を誤解させる表示のことです。

たとえば、レストランなどで一般的な牛肉を使用しているにもかかわらず「国産有名ブランド牛の肉」であるかのように表示すると、優良誤認表示にあたり景品表示法違反となります。

そのほか「産地の偽装」や「原材料の偽装」なども、優良誤認表示とみなされます。

有利誤認表示の禁止

有利誤認表示とは、商品やサービスの価格や取引条件を、実際よりも著しく有利に見せる表示のことです。あるいは、競争関係にある事業者の商品やサービスよりも好条件であるかのように見せる表示のことをいいます。

有利誤認表示の具体例は下記のとおりです。

・期間限定としながらセールやキャンペーンを繰り返し実施する

・実際には条件があるにもかかわらず無条件の返金保証と謳う

実際はお得ではないのに「お得」「今買うとお得」「ほかの店よりもお得」などのように、消費者が誤解するような広告をすると有利誤認表示にあたります。

景品表示法はノベルティ制作に関係する?

ノベルティを制作する際、景品表示法はどのように関係するのでしょうか。ここからは、ノベルティについて詳しく説明したうえで、景品表示法で定められたノベルティの制作価格などについて解説します。

そもそもノベルティとは?

ノベルティとは、企業が商品やサービスを宣伝するために、企業名やサービス名、ロゴなどを入れて無料で配布するグッズのことです。ブランディングや認知向上、集客を主な目的としています。

たとえば、ティッシュやボールペン、タオル、メモ帳、マグカップ、スマホスタンドなどです。ノベルティの種類はバラエティに富んでおり、多くの会社が販売促進のために導入しています。

また、ノベルティとよく混同されるものとして「プレミアム」があげられます。ノベルティは各会社が無料で配布している一方、プレミアムは会社の商品を購入した顧客だけに与えられる特典品です。

ノベルティは商品を購入したことがない人にも配布されますが、プレミアムは商品を購入した人を対象にしているところが大きな相違点といえます。

ノベルティは「総付景品」に該当

ノベルティは、下記のような場合に「総付景品」に該当します。

・来場者全員にもれなくノベルティを提供する

・先着でノベルティを提供する

ただし、商品を購入する人が申し込み時点で景品の提供を受けられるかどうか分からず、偶然性によって決定されるような場合は懸賞に該当する場合があります。

制作費用の上限が決まっている

ノベルティを制作する際は、景品表示法で定められた金額以内で制作しなければなりません。

下記は、顧客が支払った金額に対する景品類の最高額をまとめた表です。

顧客が支払った金額提供できる景品類の最高額
1,000円未満200円
1,000円以上支払い価額の10分の2
支払いなし原則100円

総付景品としてノベルティを提供する際は、上記の価格を守ったうえで制作する必要があります。価格が高すぎるものを制作してしまうと、消費者は適切に商品選びができなくなる可能性があります。そのため、あらかじめノベルティの制作価格の上限が定められているのです。

配布状況によっては総付景品にならない場合も

前章でノベルティは総付景品に該当すると述べましたが、配布状況によっては総付景品にならない場合もあります。ここからは、ノベルティが総付景品に該当する場合と、該当しない場合について紹介します。

全員にもれなくノベルティを提供する

商品やサービスの購入、来店などを行った人全員にもれなくノベルティを提供する場合は、総付景品となります。「ベタ付け景品」とも呼ばれ、抽選や偶然などによって提供される懸賞とは異なり、対象者全員に提供されるのがポイントです。

先着でノベルティを提供する

商品の購入者や来店者に対し、先着でノベルティを提供することは総付景品となります。ただし、申し込み時点で購入者が景品類の提供を受けられるかどうかを知れず、景品類の提供の相手が偶然性によって決められる場合は、総付景品ではなく懸賞となる可能性があります。

たとえば、ウェブサイトや電話、郵便などの購入によって、景品類を申し込みの順番で提供する場合があげられます。

価格の違うノベルティを提供する

価格の違うノベルティの提供は、総付景品となりません。来店した顧客がどの景品をもらえるか不明な場合は、懸賞による景品類の提供に該当します。もれなく景品を提供する場合であっても、景品類の価額を偶然性によって決定していることになるためです。

下記の場合は、提供する景品類の価額を偶然性によって定めていないため、総付景品となります。

・提供される景品を顧客が自由に選べる場合

・提供される景品を顧客が自由に選べないものの、景品類の価額に差がない場合

クイズの正解者にノベルティを提供する

クイズの正解者にノベルティを提供する際、誰でも正解できるような問題を出題した場合は総付景品となります。これは正誤によって景品類を提供する相手を決めているのではなく、景品類を来店者全員に提供していることと同一になるためです。

なお、特定の行為の優劣、または正誤によって景品類を提供する相手を決める場合は懸賞に該当します。

景品表示法違反をした場合の処分

景品表示法に違反する行為を取った場合、都道府県や消費者庁から「是正勧告」を受ける場合があります。是正勧告とは違反の是正を求める措置のことで、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為をしないことを命じるものです。

違反の可能性がある行為がみられた場合は、仮に違反の事実が認められない場合であっても指導の措置が取られます。事業者が是正勧告を受けた場合、すぐに従わなければなりません。

違反した事業者が仮に是正勧告を無視し続けた場合は、刑事罰などの厳しい措置が取られる可能性があります。刑事罰が科されると、2年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科される場合があります。

ノベルティを制作中に政府や都道府県から是正勧告を受けた場合は、すぐに対応することが大切です。

景品表示法以外で注意すべきポイント

ノベルティを制作する際には、景品表示法以外にも注意すべきことがあります。ここからは、ノベルティ制作時に留意すべき商標権・著作権・肖像権について解説します。

商標権

商標権とは、登録者が商品名やサービス名、ロゴマークなどの使用権利を独占し、第三者が無断で使用することを禁止する法律です。商標権を得るためには、特許庁に商標登録の申請をして認可を受けなければなりません。

一般的に、商品やサービスとあまり関係のないものをノベルティグッズとして制作する場合が多く、自社の製品をノベルティとして提供することは少ないといえます。そのため、ノベルティグッズ自体の商標権を持っていない場合は注意が必要です。

たとえば、企業が商標登録をしている「ABC」というブランド名を、商標登録をしていないボールペンなどのノベルティグッズにプリントする場合が考えられます。

ノベルティグッズとして配布する際、ボールペンを指定商品とした「ABC」の商標登録がされていない場合は問題ありません。しかし、ほかの企業や個人が仮にボールペンを指定商品として「ABC」の商標登録をしていた場合は、商標権侵害になる可能性があるため注意しましょう。

著作権

著作権は、著作物を創作した者の権利を守り、第三者がその著作物を無断使用することを禁止する法律です。著作権者の許可を得ることなく、無断でイラストやキャラクターなどの著作物を使用した場合は著作権侵害となります。

既存のイラストやキャラクターをノベルティグッズに使用する場合も、著作権者の許可が必ず必要です。既存のキャラクターに似せてプリントしたり、既存イラストの特徴などを真似てプリントしたりした場合も、著作権侵害となるため注意しましょう。

すでに著作物が存在していることを知らずに創作した場合は、著作権侵害にはあたりません。ただし、類似性がSNSなどで指摘されると企業イメージに悪影響を及ぼす可能性があります。オリジナルイラストを創作する場合は、似たような著作物が存在していないかを事前に確認することが重要です。

肖像権

肖像権とは、第三者から無断で自分の顔や姿態を写真または映像で撮られたり、無断で公表されたりしない権利です。ノベルティ制作で写真を使用する場合は、肖像権に注意しましょう。

たとえば、無断で有名人の画像などをノベルティにプリントした場合は肖像権侵害となります。もちろん有名人だけでなく一般人にも該当する権利なので、知り合いの写真であっても無断使用は禁じられています。

個人が特定できる写真をノベルティに使用する場合は、必ず本人に許可を取りましょう。

販売促進に関するアイデアは、自社の方針や業界にマッチする手法を取り入れることが大切です。しかし、アイディアが浮かばず、悩む方も多いでしょう。こちらの記事では、販売促進のアイデアを紹介しています。オンラインやオフライン別に取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。[5] 

まとめ

ノベルティを制作する際は、景品表示法に注意しましょう。景品表示法に違反すると、再発防止等を命じる措置命令や、課徴金の納付を命じる課徴金納付命令を受ける可能性があります。

また、景品表示法以外にも、商標権や著作権、肖像権にも注意が必要です。芸能人など個人を特定できる写真を使ったり、イラストやキャラクターなどの著作物を無断で使用したりしないようにしましょう。法律を守ったうえで、受け取った人の印象に残るノベルティを制作することが大切です。

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